
イーサリアム(ETH)考案者ヴィタリック氏、仮想通貨に対する規制と今後の見通しについて言及
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「コインチェックハッキング事件」について言及
ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)、24歳。ブロックチェーンを使ってスマートコントラクト(契約)を構築できるプラットフォームであり、仮想通貨としての側面も持つ「イーサリアム」を19歳の時に考案。5年後、彼の作ったイーサリアムの価値は時価総額約4兆3700億円(2018年3月29日時点)にまで膨れ上がった。
3月28日、世界中が注目する仮想通貨業界を代表する若き“怪物”がBusiness Insider Japanに語った。(中略)
仮想通貨の世界で、いろいろな意味で日本は「特別な国」だ。580億円という巨額流出を起こした「コインチェック流出問題」に何を感じたのか?(中略)

解決策とPlasmaについて
解決策について、取引所を規制することも当然1つだが……と前置きした上で、多くの問題は技術的に解決できる、とも語る。
その一例が、ヴィタリック自身が現在取り組んでいる技術、「Plasma」だ。
Plasma(プラズマ):元々はイーサリアムの「スケーラビリティ(拡張可能性)問題」を解決するための技術。1秒あたりに処理できるトランザクション(取引)量を増やすことなどができるとされる。
「Plasma」を取引所に適用して「分散型取引所」をつくれば、中央集権的な“誰か”ではなくユーザー個人にお金を留めておくことができる。(中略)すでに複数のチームが「Plasma」の実装へ向けて動いているという。ヴィタリック自身もいくつかの取引所と話し合いをしており、彼らも導入に意欲的だそうだ。
イーサリアムのスケーラビリティー問題とは、ブロックには容量があり、ブロックを形成するのにある程度の時間(15秒〜17秒)がかかるため、トランザクション(取引)が増えるに従い、送金詰まりが発生してしまう問題である。
新技術であるPlasmaでは、処理できるトランザクション量を増やすことによって、上記の問題を解決しようと試みてるようだ。
Plasmaの開発が進んでいるという。この技術が導入されることにより、「中央集権化」していた各国の取引所が「分散化」されることだろう。Plasmaは2018年以内に実装可能だという。
分散化という特徴をもつブロックチェーン技術が取引所によって「中央集権化」されるといったある種の矛盾が解ける日が近いのかもしれない。
昨今のICO規制について
今のICO(イニシャル・コイン・オファリング)の規制には問題がある、とヴィタリックはいう。彼の主張はこうだ。
「例えば、アメリカを始めとする国々ではICOの規制があり、ユーティリティトークンは良いもので規制は必要なく、セキュリティトークンは悪いもので規制が必要だ、とされた。
セキュリティトークンとして登録すると長い時間がかかることになり、誰もやりたくないという状況になってしまった。
そこで起こったことは、(サービスを提供する)みんなが法律家を探し、自分たちのプラットフォームがユーティリティトークンモデルに分類されるように取り計らうことだった」
既存の法律では、昨今の新しい技術に対応している訳もない。技術の発展が加速化する中で、国家レベルでは、まだまだ新しい技術への対応に追いついていない。
現在は、既存の法律に合わせた開発になってしまっていることで、開発に制限がかかってしまっているのが現状だ。
技術革新と共に、法律面で、国家レベルでの対応は時間を要するだろう。
技術と国家レベルでのルールとのギャップが埋まるのは一体いつ頃なのだろうか。
「テクノロジーを受け入れるのに時間がかかるのはいいこと」
「ユーザーがテクノロジーを受け入れるのに時間がかかるのは実際、いいことだとも思う。だって時間があればテクノロジーを向上させて、より安全でスケーラブルで速いものを作ることができるし、みんなが僕らのプラットフォームやアプリケーションを使う頃には、もっといいクオリティーになっていると思うから」
昨年の仮想通貨の市場価格の高騰により、昨年は世界的な仮想通貨ブームとなった。その中で、「ブロックチェーン」技術が大きな注目を集め、様々な分野に応用でき、万能な技術だとされ、妄想だけが一人歩きしていたように感じる。
将来的には、「ブロックチェーン」技術は、様々な人間の欲求を満たしてくれる技術なのかもしれない。しかし、新しい技術が社会に浸透するには、ある程度の時間を要するだろう。
私たちの知らない間にも、世界トップレベルの技術者らが開発を進め、技術が日々進歩している。
「ブロックチェーン」技術は新たな時代の波をつくるだろう。
その波はいつやってくるのか。そんなことは誰も正確な予測をすることができない。
ただ、事前に「ブロックチェーン」技術にアンテナをはっておくことで、時代の波に乗ることができるかもしれない。
